最近ご相談があるお顔の症状で偶然多いものふたつに

  • 顔面神経麻痺(ベル麻痺)
  • 顔面けいれん

があります。

まず顔面神経麻痺ですが、最も多いのがベル麻痺とよばれる顔面の片側性の麻痺です。
はっきりとした原因は不明ですが頭蓋骨の深部から耳の下を貫き顔面の表面に出てくる顔面神経がヘルペスウイルス感染症等によって炎症をおこし顔面の筋力が低下します。
症状としては片側の瞼が閉じれなくなったり額にしわが寄らなくなったり口角があげにくくなるといった症状があります。
治療は

  • 顔面神経の炎症、浮腫みを改善させるためステロイド投与(投与量は患者様によって調節します。)
  • 顔面神経の血流・循環改善を目的に星状神経節ブロック(*星状神経節:頸部にある自律神経のつぼ)というブロック注射

等を行います。星状神経節ブロックは著名人の顔面神経麻痺の治療によって名の知れた存在になりました。
当院ではブロック注射の代わりに同部位に到達する近赤外線を照射するスーパーライザー治療を行っております。痛みや大きな副作用もなく、服用中のお薬にかかわらず施行でき当院では通われている方が多い治療のひとつです。

ふたつめの顔面けいれんですがお顔の表情をつくる筋肉が自分の意思とは関係なくぴくぴくとけいれんするといった症状がおこります。通常片側性にけいれんが目の周りから生じます。
次第に頻度が増したり同じ側の頬、口の周り、頸部にけいれんが拡がる方もいらっしゃいます。
原因は顔面神経が脳内の深部にある脳幹から出る部分で血管に(多くは動脈硬化で蛇行した血管)により圧迫されることによっておこります。
治療としては

  • 顔面神経から圧迫されている血管を取る根治的な手術療法
  • 薬物療法
  • ボトックス治療

があり当院では薬物治療、ボトックス治療を行っています。
薬物治療は神経の興奮を抑えるタイプのお薬をのんでいただきますが軽度の方はこれで改善される事も多いです。
効果が不十分な場合ボトックスという筋肉の緊張をやわらげるお薬を目や頬、お口の周りの症状のけいれんのある部位にごく少量注射し症状を緩和させます。
この注射は顔面けいれんには保険適応で3~4か月は有効です。
副作用はお薬が効きすぎ片目が閉じづらくなったりそれに伴い目が乾いたりといったものがありますが効果が薄くなると共にもとにもどります。

皮膚科、美容皮膚科でお顔の治療をするように脳神経内科でも別の視点でじっくりお顔を診察しています。
力が入りにくい、ぴくぴくする、痛みがある。。などお顔の症状で何か気になることがありましたらご相談ください。

クリニックの帰り道にふと見つけました。湿気の多い季節ももうすぐ終わりですね。

クリニックの帰り道にふと見つけました。湿気の多い季節ももうすぐ終わりですね。