私(田原)

驚く程早い梅雨明けとともに本格的なギラギラとした夏がやってきました。
この気温、気圧の変化や太陽の眩しさで頭痛が増えたり倦怠感をはじめ体調の整わない患者様のご相談が多いです。

片頭痛予防の注射薬「抗CGRP製剤」を日本で使用できるようになって早一年。

夏のイメージ画像TVでもとりあげられ、患者様からご質問をいただく事が多くなりました。
片頭痛のメカニズムとして、痛みに関する三叉神経からCGRPという炎症性物質が放出され脳の血管に作用し痛みが生じるのですが、新たな注射薬はこのCGRPに直接作用する画期的なお薬です。

片頭痛が頻繁に起き頓服薬の服用回数が多い、そしていつもの頓服薬も効果が最近乏しい…となると予防治療が必要になってきます。
予防薬としては今まで脳血管に作用する内服薬を毎日服用していただいていましたが、それでも効果が実感できなかったり服用すると何となく眠くてふらっとしたり胃もたれがするなどの副作用がでたり…。そのような方には月一回の皮下注射という選択肢もできました。

当院でも15名程ですが、ご本人と定期受診毎に何度も相談した上で注射をはじめた方がいらっしゃいます。継続してもう1年の方も多いです。「何十年と毎日頭痛があったんだけれど今ほとんど頓服薬なしで過ごしています。今年の夏は違います。」「天気悪い時はやっぱり頓服薬をのみました。」等、程度は様々ですが9割方何等かの効果を認めています。大きな副作用もありません。1年も経過しているので中には「調子いいんでしばらく注射やめてみたいです。」と言われ、経過のみを診ている方も出てきました。

経済面では注射を含めた1回の受診が15,000円程となり、そこがネックなのですがそこはその方の今までの予防薬を含めたお薬の量、日常生活の支障度等のバランスだと思います。
また高価なお薬ですので、その方にとって本当に注射薬がよいのか。という医師の適応の見極めが重要となってきます。

在宅自己注射が可能な「エムガルティ」

現在3種類の注射薬がでていますが、5月からはその中のひとつ「エムガルティ」は在宅自己注射ができるようになりました。まずクリニックで指導し、次回はご自身で注射をうっていただきます。注射薬について十分知っていただく為、院内で観ていただくタブレットや練習用デバイス(注射器)等のツールも充実しています。当院もお仕事等や遠方の方で通院や待ち時間に時間を割くのが困難な、お忙しい世代の方数名から開始していく予定です。

この1年で報道等を通じ「片頭痛で日常生活に支障が出ているときは予防治療がある。」という事をはじめて知っていただいた方も多いと思います。そして片頭痛の予防薬はより効果がでている。と実感を伴う注射薬という心強い選択肢ができました。
また、自己注射を通じ頭痛の治療や症状の把握に患者様自身も今までよりもっと参加している。という気持ちが芽生えてくるのではないか。と思っています。
はじまったばかりのこの夏。乗り切るような健康上のお手伝いができればと思っておりますのでご相談くださいね。

私(田原)

写真はエムガルティ在宅自己注射のスターターキットです。

白鳥内科ブログ エムガルティ在宅自己注射のスターターキット頭痛の方の目に優しい落ち着いたグリーンカラー。
病院で聴いていただく説明用のタブレットの声のトーンも聴きやすい周波数であったり工夫が凝らしてあります。
個人的には保冷剤を入れるバッグのクオリティに感心。

抗加齢学会に参加してきました

近況ですが抗加齢学会に参加してきました。
最近の学会はWEB参加がメインだったのですが、久々の現地参加はやはり楽しいです。
内科、婦人科、泌尿器科等、様々な科の視点からの抗加齢医療についての講演を聴きました。
今後の診療に還元できたら良いなと思っています。

白鳥内科ブログ 抗加齢学会の様子
白鳥内科ブログ 抗加齢学会の様子