ワクチンを含め注射薬のニュースが注目される日々ですが、先日印象に残った片頭痛の注射予防薬のWEB講演会がありましたのでお伝えします。
新たに承認されたそのお薬はエムガルティといいます。
片頭痛が起きるときには知覚神経である三叉神経からCGRP(シージーアールピー)という痛み物質が放出されます。このCGRP(シージーアールピー)が脳の血管に作用し脳血管が拡張、炎症が起きて痛みが生じます。
エムガルティはそのCGRP(シージーアールピー)に直接結合し働きを阻害する「抗CGRPモノクローナル抗体」という新たな種類のお薬で月1回の皮下注タイプです。
現在アトピー性皮膚炎や関節リウマチ等多くの分野で抗体薬が使われていますが片頭痛の分野にも出てきましたね。
今までの予防薬は神経の過敏性を抑えたり血管を安定化させ痛みを感じづらくする治療が主でした。
エムガルティは片頭痛の痛みの根源CGRPに直接アプローチする全く異なったタイプの薬剤です。気になる効果ですが。。
反復性片頭痛の方を対象とした国内の第二相試験では1か月あたりの頭痛日数を6か月追跡したところ投与1か月後から効果が見られ頭痛回数が半分に減ったのは約50%、片頭痛がなくなった方(講演ではスーパーレスポンダーと表現されています。)が約10%みられたとのことです。
副作用としては、注射部の疼痛や腫脹などが主で10%~15%程度に見られるそうです。
片頭痛の予防薬の効果判定は2、3か月かかるものがあります。その間に副作用が出て継続できなかったり、複数の薬剤を併用しても効果が十分に出なかったり。
今回のお話では効果発現が早く有効性も高いとのことで期待が膨らみます。
診察時の患者様との何気ない会話です。
家族がアトピー性皮膚炎なんですけれどとても良い注射薬が出てから凄くよくなったんです。片頭痛もそんなお薬があったらな。って思います。
まさに同じような注射、抗体薬が片頭痛でもうすぐ出ます。少し値段は高くなるかもしれませんが。
値段は気になりますがもう値段の問題だけではないと思うんです。旅行行く前に今度は食事楽しめるのかなとか。こんどいつ来るのか。とかいつも頭痛の事考えてて。
この会話にもあるように講演でも指摘されていました、日常生活の支障度があらゆる年齢で最も大きい神経疾患といわれている片頭痛。有病率が高いため多くの方が当院にも通われています。
この注射薬が片頭痛治療の選択肢となり患者様に希望を持っていただけるようになったらな。と思っています。
院内のお花です。チューリップと桜の組み合わせが正解かどうかわかりませんが、春らしさを届けたくていけてみました。